ドバイの生活コストと移住後の実務

不動産購入でゴールデンビザを取得した後、実際に住むとなると何にいくらかかるのか。家賃・光熱費・学費・医療・交通の実額と、居住開始時に必要な手続きを日本語でまとめました。「所得税ゼロ」の裏側にあるコスト構造を把握するためのページです。

金額はAED建ての公表値をもとにした目安です。円換算はヘッダーの為替レート(ライブ)で自動計算しています。実際の費用はエリア・物件・家族構成・時期により変動します。

① 月間の生活費(家賃を除く)

食費・光熱費・通信・交通・日用品などの合計。家賃は別途かかります。

ドバイは所得税・住民税がゼロのため、同じ額面収入でも手取りは日本より大きくなります。一方で家賃・学費・医療保険は自己負担が大きいのが特徴です。日本のように社会保険料が給与天引きされない代わりに、民間保険を自分で手配する構造だと理解すると分かりやすくなります。

② 家賃相場(賃貸で住む場合)

生活コストの中で最大の項目です。都心と郊外で1.5〜1.6倍の差があります。

間取り・立地月額
ドバイの賃貸契約は年払い(1〜4回の小切手分割)が基本です。日本のような月払いは一般的ではなく、契約時にまとまった資金が必要になります。加えて仲介手数料(年間賃料の5%程度)、保証金(同5%程度)、Ejari登録料がかかります。
賃貸の法的な枠組み:賃貸契約はEjari(イジャリ)登録が義務です。電気・水道(DEWA)の開通や査証(ビザ)の手続きの際にも、登録済みの契約書の提示を求められます。家主と借主の争いは、2013年にドバイ土地局(DLD)の下に設置された賃貸紛争解決センター(RDSC)という司法機関が専門に扱います。契約満了時に法定の事由で契約を終了させる場合は、公証人または書留郵便による12か月前の退去通知が必要とされています。
出典:ドバイ土地局(DLD)Ejari/賃貸紛争解決センター(RDSC)(2026年8月時点)、2007年ドバイ法令第26号(2008年ドバイ法令第33号による改正)第25条(2026年8月時点)

③ 光熱費・通信・交通

項目金額
電気・水道はDEWA(ドバイ電力水道公社)が一括で管理します。夏場は冷房で電気代が跳ね上がるため、年間では平均値より高くなる月があります。物件によっては冷房がdistrict cooling(地域冷房)で別請求になり、使用量にかかわらず基本料金が発生する場合があるので、契約前の確認が必要です。

④ 教育費 ― 移住で最大の変数

ドバイの外国人の子どもは私立校(インターナショナルスクール)に通うのが一般的です。

区分年間費用
私立校の年間費用はAED 12,500〜150,000(約55万〜660万円)と12倍の開きがあります。英国式(IB・IGCSE)、米国式、インド式などカリキュラムによって費用帯が大きく異なり、子ども2人なら教育費だけで年間1,000万円規模になることもあります。移住の採算を左右する最大の変数です。学校の空き状況も地域差があるため、住む場所は学校から逆算するのが実務的です。

⑤ 医療 ― 民間保険が必須

ドバイでは居住者の健康保険加入が義務です。日本の国民健康保険のような制度はありません。

項目金額
雇用されている場合は雇用主が保険を手配しますが、投資家ビザ・ゴールデンビザで自営・無職の場合は自分で加入する必要があります。最低限のプラン(Essential Benefits Plan)は年 AED 650〜725 程度ですが、カバー範囲が限定的です。家族帯同や持病がある場合は、より広いカバーのプランが必要になり費用は大きく上がります。日本の健康保険は原則として使えなくなる点にも注意が必要です。

⑥ 気候と生活スタイル ― 「車とモールとデリバリー」の暮らし

数字には出ませんが、住み心地を想像するのに一番役立つ部分です。生活の前提が日本とかなり違います。

🌡️

気候 ― 夏と冬で別の街

夏(6〜9月)は日中40°C超で湿度も高く、徒歩5分以上の移動は正直厳しいレベル。そのぶん建物・車・モールはすべて強力な冷房完備です。11〜3月は20〜30°C前後で快適そのもの。雨はほとんど降りません。

🚗

移動は車が中心

完全な車社会で、日常の移動はドアtoドアの車移動が基本です。タクシー(配車アプリ含む)が日本よりかなり安いので、車を持たずタクシー中心で暮らす人も多くいます。

🚇

メトロは補助的

料金は安いものの路線と駅が限られていて、駅から目的地までの徒歩が夏は厳しいため、日常ではあまり乗らない人が多数派です。ラッシュアワーはかなり混雑します。

🛍️

モールが生活インフラ

週末はショッピングモールで過ごすのが定番。スーパー・飲食・映画館・クリニックまで揃っていて、夏の間は「涼しい公共空間」として機能します。

🛵

デリバリーで何でも届く

食事だけでなく食料品・日用品・薬までデリバリーが非常に発達していて、「何でも届く」のが前提の暮らしです。手数料も手頃です。

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自宅の下にスーパー

タワーの下層には小型スーパーが入っていることが多く、日々の買い物は「自宅の下」+デリバリーでほぼ完結します。

⑦ 居住を開始するときの手続き

ビザ取得後、実際に生活を始めるまでに必要になる主な手続きです。

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エミレーツID

UAEの身分証。これがないと銀行口座も携帯電話も契約できません。ビザ発給とセットで申請し、健康診断(血液検査・胸部X線)が必要です。有効期限はビザと連動します。

DEWA・通信の契約

電気・水道はDEWAに申込み、接続料 約1,000〜2,000AED とデポジットが必要。通信はEtisalat または du のいずれかを選びます。いずれもエミレーツIDが必要です。

🏠

Ejari登録・住民登録

賃貸の場合はEjari(賃貸契約登録)が必須(約220AED/年)。持ち家の場合はコミュニティ管理事務所で住民登録とアクセスカードの発行を受けます。

🏦

銀行口座の開設

居住者はCurrent口座・小切手帳・住宅ローンまで選択肢が広がります。給与振込がない場合は最低残高(目安 AED 25,000〜)の維持が求められることが多いです。

🚗

運転免許の切替

日本の運転免許はUAEの免許に切り替え可能です(試験免除の対象国)。翻訳証明とエミレーツIDが必要。車社会のため、メトロ非接続エリアに住むなら実質必須になります。

🇯🇵

日本側の手続き

1年以上の滞在予定なら海外転出届を提出します。これにより住民税・国民健康保険の対象から外れますが、日本の非居住者になるかは実態で判定されるため、事前に税理士へ相談してください。

⑧ 「税金ゼロ」を移住の理由にする前に

ドバイ移住の最大の動機は税制ですが、判断の前に確認しておくべき点があります。

⚖️

居住地の判定は「実態」で決まる

ビザを取得しただけでは日本の非居住者にはなりません。生活の本拠がどこにあるか(滞在日数、家族の所在、資産の所在、職業)で総合的に判定されます。形式だけ整えても否認されるリスクがあります。

💸

出国時の課税に注意

一定額以上の有価証券等を保有したまま出国する場合、国外転出時課税(出国税)の対象になることがあります。含み益に対して課税されるため、移住前の資産構成の整理が必要です。

🧮

税制メリットと生活コストの差引

所得税・住民税がゼロでも、教育費・医療保険・家賃で年間数百万円の追加負担が発生することがあります。特に子どもがいる世帯では、税メリットが生活コストで相殺される可能性があります。

🛂

ビザの維持要件

ゴールデンビザは対象不動産を継続して所有していることが条件です。売却するとビザの前提が崩れます(「利回り・出口の自由」とのトレードオフ)。取得タイミングは、2026年2月の改定でオフプランなら頭金(10〜20%)+Oqood登記の段階から申請可能になりました(200万AED以上・DLD評価額基準・審査あり)。投資家ビザ(2年)は180日以内に1回以上のUAE滞在も必要です。

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