物件を「選んだ後」に必要になる実務を日本語でまとめました。送金の方法、現地口座、管理会社の選び方、短期賃貸の許認可、そして忘れてはいけない日本側の税務まで。
同じUAEでも、規制当局・登記費用・市場の性格が異なります。どちらで買うかで手続きも費用も変わります。
| 項目 | ドバイ | アブダビ |
|---|---|---|
| 規制当局 | DLD/RERA | DMT/ADREC・DARI |
| 登記費用 | 物件価格の4% | 物件価格の2%(ヤス島など一部は実質0%) |
| 権利証 | Title Deed | Title Deed(Tabu) |
| オフプラン登録 | Oqood | DMT登録(DARI/Madhmoun) |
| 市場の性格 | 流動性・選択肢が豊富。観光・短期賃貸が厚い | 政府系開発・文化/レジャー中心。安定志向で供給は限定的 |
プライマリー(デベロッパーから直接・多くはオフプラン)とセカンダリー(いまの所有者から・多くは完成物件)では手続きが大きく異なります。これは「誰から買うか」の軸で、建設中か完成済みかは別の軸です(オフプラン契約の転売=セカンダリー、完成在庫の直販=プライマリーもあります)。
竣工実績・建設進捗・財務の健全性を確認します。
数百万円〜(物件により価格の5%程度)を支払い、住戸を仮確保します。Reservation Form に署名。
価格・支払いスケジュール・完成予定時期・解約条件を確認して締結。頭金はドバイ20%前後/アブダビ5%前後が一例。
ドバイはOqood(DLDの仮登記簿)、アブダビはDMT登録。所有権が制度的に保護されます。
建設マイルストーンに連動して、定められた期日ごとにプロジェクトのエスクロー口座へ送金します。
完成通知を受けて残金を精算し、引渡し。スナッギング(不具合の確認・補修依頼)は残金精算とほぼ同時か、その後に行います。Title Deed はポストハンドオーバー払いがなければ取得(完済まではOqoodのまま賃貸運用も可能)。
物件状態・設備・管理状況・管理費を確認します。
家具・設備の有無、引渡し条件も交渉対象です。
Contract A=売主と仲介会社の媒介契約、Contract B=買主と仲介会社の契約、Contract F=売主と買主の統一売買契約(「MOU」とも呼ばれます)。デポジットは通常10%。
売主が開発業者から異議なし証明書を取得(目安 約5,250AED)。未払い費用がないことの証明です。
購入代金+登記費用(ドバイ4%)を支払い、Title Deed を受領。アブダビはDMTで2%。
| 観点 | オフプラン | セカンダリー/レディー |
|---|---|---|
| 初期費用 | 頭金+分割で負担を平準化 | 一括に近い支払いが多い |
| 仲介手数料 | 原則不要(開発業者が負担) | 通常 物件価格の2% |
| 値上がり | 完成までの上昇を狙いやすい | 立地・築年で個別差 |
| 収益開始 | 完成後(建設期間は無収入/保証賃料の場合あり) | 即時に賃貸可能 |
| 実物確認 | できない(モデルルーム・完成予想CG) | 内見できる |
| 主なリスク | 完成遅延・品質、開発業者による差 | 瑕疵・管理状況・流動性、リフォームが必要な場合 |
引渡し前(オフプラン)の売買は、DLDの暫定不動産登記簿(Oqood)への登録が義務づけられています。
暫定不動産登記簿(Oqood)へ登録します。登録されていない取引は法律上無効とされます。
完成・引渡しの登録を経て、所有権はDLDが発行する電子タイトルディード(権利証)1通に登記され、Oqoodから切り替わります。
名義や物件情報は、DLDの公式アプリDubai RESTで自分でも確認できます。
物件価格に加えて、登記費用・諸費用を見込んでおく必要があります。
| 費目 | ドバイ | アブダビ |
|---|---|---|
| 登記(所有権移転)費用 | 物件価格の4% | 物件価格の2%(一部0%) |
| オフプラン登録 | Oqood手数料(目安 約20万円相当) | DMT登録手数料 |
| 仲介手数料 | プライマリー原則不要/セカンダリー2%+VAT | 同左(目安) |
| NOC(セカンダリー) | 約 5,250 AED | 開発業者による |
| Knowledge/事務手数料 | 約 580 AED + 数千 AED | 登記関連手数料 |
| Title Deed 発行 | 約 4,000 AED | Tabu 発行手数料 |
| 住宅ローン関連(利用時) | 審査料・手数料(ローン額の0.5〜1%)+保険料 モーゲージ登録費 ローン額の0.25% | 同左(目安) |
| VAT | 住宅:非課税/商業:5% | 同左 |
| 家具・室内検査 等 | 家具 約150万円 + 検査 約40万円/戸(目安) | 同左(目安) |
日本在住のまま購入する方の多くは「非居住者」に該当します。UAE居住者(エミレーツID保有者)かどうかで、ローン・手続き・必要書類が変わります。
| 項目 | 居住者(ID保有) | 非居住者(日本在住など) |
|---|---|---|
| 住宅ローン | 利用しやすい(最大75%目安、金利優遇) | 利用可だが頭金多め・対象限定。現金/分割も多い |
| 契約・手続き | 現地で直接対応しやすい | 電子署名・郵送・委任状(POA) |
| 支払い | 現地口座から小切手・送金 | 海外送金(為替・所要日数に注意) |
| 引渡し・登記 | 本人出席が容易 | 代理人可。セカンダリーの権利移転時は本人/正式代理人の出席が必要 |
| 居住者 | 非居住者 |
|---|---|
| 有効なパスポートの写し | 有効なパスポートの写し |
| エミレーツIDの写し | 住民票または居住証明(英訳付き) |
| 居住ビザの写し | 資金源証明(銀行取引明細等) |
| 直近3か月の銀行取引明細 | 納税証明(英訳付き、場合により必要) |
日本にいながら手続きを進めるための代理権限。UAEはアポスティーユ条約に非加盟のため、領事認証ルートになります。
委任状の内容を英文で用意し、公証人の認証を受けます。
公証人の押印が真正であることの確認を受けます。
アポスティーユではなく領事認証が必要です。
手続きによっては現地側の認証と法定翻訳が追加で必要になります。
「必ず行かないといけない場面」と「行かなくてよい場面」を分けて考えます。
| 区分 | タイミング |
|---|---|
| 必須 | セカンダリー物件のTitle Deed 移転時(本人出席。正式な委任状=POAがあれば代理人も可) |
| 推奨 | 物件選定(特にセカンダリーの内見)/引渡し時の内覧(スナッギング)/銀行口座開設 |
| 不要 | オフプランの初期予約・契約(オンライン可)/委任状を立てた各種手続きの代行 |
ドバイは政府データが公開されているため、営業資料の数字を自分で検証できます。契約前・購入後の両方で使えます。
DLD公式サービスで、プロジェクトの登録状況・建設進捗率・ステータス・開発会社・エスクロー口座を確認できます。
手順:DLD公式サイトの「Project Status Enquiry」を開く →「Project Name」または「Project Number」を入力 → 検索結果から該当プロジェクトを選択 →「Completion」で進捗率、「Status」で現在の状況を確認。
エリアやプロジェクト、建物ごとに、過去の売買・賃貸取引、面積、間取り、平方フィート単価、想定利回りなどを確認できます。募集価格だけでなく実際の取引データを参照することで、賃料設定や保有継続、売却時期を検討する際の判断材料になります。
購入代金は AED 建てで、デベロッパーのエスクロー口座または売主・トラスティ口座宛てに送金します。
家賃の受取・管理費の支払いには現地口座があると便利です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 非居住者の開設 | 可能(Savings口座中心)。Emirates NBD・Mashreq・ADCB・RAKBANK などが非居住者向けを提供 |
| 必要書類 | パスポート、住所証明、資金源証明、(銀行により)残高証明・紹介状 |
| 最低残高 | 目安 AED 25,000〜100,000(下回ると口座維持料) |
| ビザ保有者 | ゴールデンビザ等があればCurrent口座・小切手帳・ローンまで選択肢が広がる |
| 代替手段 | 口座なしでも管理会社経由で日本の口座へ送金receive可(送金手数料はかかる) |
非居住オーナーの運用品質は管理会社で決まります。
| 運用タイプ | 管理料の目安 |
|---|---|
| 長期賃貸(年間契約) | 年間賃料の 5〜8%。入居者募集・Ejari登録・集金・修繕手配まで |
| 短期賃貸(ホリデーホーム) | 売上の 15〜25%。清掃・リネン・ゲスト対応・OTA運用込み |
| 入居者募集のみ | 賃料の5%程度 or 半月分(スポット) |
| 首長国 | 制度 |
|---|---|
| ドバイ | DET(旧DTCM)のホリデーホーム許可が必須。ユニット単位・年次更新、宿泊税(Tourism Dirham)徴収義務。管理会社経由なら業者ライセンスに載せる方式も可 |
| アブダビ | DCT Abu Dhabi への登録制。2024年以降、個人オーナーの登録が簡素化 |
| RAK | RAKTDA(観光開発庁)の許可制。Wynn開業を見据え制度整備が進行中 |
2BR・年間賃料 AED 120,000 の長期賃貸を想定した概算。
UAE側が無税でも、日本の居住者は全世界所得課税の対象です。以下は一般的な整理で、必ず税理士に確認してください。
| 項目 | 取り扱い(日本居住者の場合) |
|---|---|
| 家賃収入 | 不動産所得として総合課税(所得税5〜45%+住民税10%)。減価償却・管理費・渡航費等は経費計上可 |
| 売却益 | 譲渡所得。保有5年超は長期譲渡 20.315%、5年以下は短期 39.63% |
| 国外財産調書 | 年末の国外財産合計が5,000万円超なら提出義務(不提出・虚偽は罰則あり) |
| 財産債務調書 | 所得2,000万円超かつ財産3億円以上等の場合に提出 |
| 外国税額控除 | UAEに所得税がないため基本的に出番なし(=日本でまるごと課税される、が正しい理解) |
| 相続 | 日本の相続税の対象(国外財産含む)。UAE側は非ムスリム外国人ならDIFC/ADJD Willsの遺言登録で承継先を指定可能 |
| 取引形態 | 支払いの基本 | 主な方法 | 確認ポイント |
|---|---|---|---|
| オフプラン | ペイメントプランに沿って分割払い | 銀行送金、Wise等のサービス、物件によりクレジットカード/仮想通貨 | 振込先のエスクロー口座、送金日数、振込記録 |
| 中古物件 | 所有権移転時に一括払いが基本 | UAE銀行口座から Manager's Cheque(マネージャーズチェック)を発行して持参 | UAE口座の準備、もしくは代理人を立てるか |
海外不動産で実際に問題になりやすい4点と、制度的にどう手当てできるかを整理しました。
| リスク | 対策 |
|---|---|
| 詐欺・トラブル | 政府公認ブローカー(RERA/ADREC登録)を通す。資金はエスクローで保全。政府登録(Oqood/DMT)を確認。SPAを弁護士がチェック。 |
| 開発業者の倒産 | エスクロー制度で代金が工事進捗に応じて保護される。実績のある大手を選ぶ。 |
| 供給増・価格変動 | 需要が厚く売りやすい立地を選ぶ。流動性を重視し、購入時点から「売りやすさ」を意識する。 |
| 為替リスク | 送金タイミングの分散、余裕を持ったスケジュール。円換算での損益も同時に管理する。 |
| 空室リスク | エリアと賃料設定次第。交通利便や大型コミュニティなど需要の厚い立地を選ぶことが最大の空室対策。 |
契約前・契約時・引渡し後の3段階で、確認漏れが起きやすい項目をまとめました。