買い方ガイド ― プライマリーとセカンダリー

ドバイの物件購入は「誰から買うか」で、費用も手続きも変わります。プライマリーとセカンダリーの違い、諸費用の実額、お申込みから賃貸開始までの10ステップを、この1ページにまとめました。

1. プライマリーとセカンダリー ― 「誰から買うか」の区別

いちばん混同されやすい言葉から整理します。プライマリー/セカンダリー「誰から買うか」の区別です。プライマリー=デベロッパー(開発会社)から直接買う。セカンダリー=いまの所有者から買い取る。それだけです。一方、オフプラン(建設中)か完成済みかは「建物の状態」の区別で、実はこれとは別の軸。よく「プライマリー=オフプラン」と説明されますが、正確には組み合わせが4通りあります。

⭐ いちばん多い形
🏗️ プライマリー=デベロッパーから🚧 建設中(オフプラン)
建設中の新築を、デベロッパーから予約して買う

頭金10〜20%+分割払いで、完成前の価格で新築を押さえる形。仲介手数料はゼロ。ドバイの住宅取引の過半がこれ。

🔑 セカンダリー=いまの所有者から🚧 建設中(オフプラン)
建設中の「契約」を、前の買主から引き継いで買う(契約転売)

前の買主のOqood(仮登記)契約を譲り受ける形。デベロッパーの承認(NOC)が必要で、代金の一定割合が支払い済みであることが条件になるのが一般的。

🏗️ プライマリー=デベロッパーから🏢 完成済み
完成した新築を、デベロッパーの在庫から直接買う

現物を見てから買えて、仲介手数料もゼロ。ただし人気プロジェクトは完成前に売り切れることが多く、選択肢は限られます。

🏠 中古の定番
🔑 セカンダリー=いまの所有者から🏢 完成済み
完成物件を、いまの所有者から仲介経由で買う

内見してから買えて、すぐ家賃が入る形。仲介会社(手数料2%+VAT)を通し、売主がNOCを取って名義変更します。

実際の取引は左上(プライマリー×オフプラン)と右下(セカンダリー×完成物件)が圧倒的多数です。だから世間では「プライマリー=オフプラン」のように語られがち、というわけです。このページでも、以下「プライマリー」は主に左上、「セカンダリー」は主に右下の形を指して説明します。

2. 購入時の諸費用 ― 「誰から買うか」で変わる

入口の諸費用を決めるのは、主に「誰から買うか」のほうです。デベロッパーから直接なら仲介手数料がなく安く、いまの所有者からなら仲介手数料などが乗ります。下の2枚で「実際にいくらかかるか」を見てください(例はすべて100万AED=約4,400万円の物件の場合)。

🏗️ プライマリー(デベロッパーから直接)
約4〜5%100万AEDの物件なら
約4〜5万AED(約180〜220万円)
DLD登録料(登記費用)4%=4万AED(約180万円)。Oqood=仮登記として政府に払う
Oqood登録・事務手数料0.5〜1%=5千〜1万AED(約22〜44万円)
仲介手数料0(ゼロ)デベロッパーから直接買うので不要。売主側のNOC費用も不要
🔑 セカンダリー(いまの所有者から・仲介経由)
約6〜7%100万AEDの物件なら
約6〜7万AED(約260〜310万円)
DLD登録料(登記費用)4%=4万AED(約180万円)。政府に払う名義変更の費用
仲介手数料(必ずかかる)2%+VAT=約2.1万AED(約92万円)
NOC・登記事務・トラスティ0.5〜1.5%=5千〜最大1.5万AED(約22〜66万円)
(参考)売却時の費用約2〜3%仲介2%+VAT・NOC等。入口+出口の往復で最低7〜10%——この分を値上がりが超えて初めてプラスです
+小切手発行代行(海外からの購入時)約1%残代金はマネージャーズチェック(銀行保証の小切手)払いが慣行。UAEに口座がない場合、エスクロー代行業者に発行を依頼する手数料

プライマリーは、銀行送金のほかカード払いにほぼすべてのデベロッパーが対応しています(Visa・Mastercardは問題なし。American Expressは非対応が多め)。仮想通貨(暗号資産)対応のデベロッパーもあり、海外から支払いやすいのも特徴です。セカンダリーの水準は、日本の不動産取得税・登録免許税・仲介手数料の合計とだいたい同じで「特別高い」わけではありません。ローンを使う場合は、どちらの買い方でもモーゲージ登録0.25%+事務費が上乗せされます。

3. 買い方の流れ ― 10ステップ

プライマリー(オフプラン)とセカンダリー(完成物件)で手順が少し違います。あなたに近いほうをどうぞ。

🧭 まず考える(ステップ1〜3)
目的を決める最重要
「家賃収入がほしい」のか「値上がり益を狙う」のか「ビザがほしい」のか。目的でエリアも物件も変わります。迷ったら投資診断(9問・3分)が便利です。
予算と支払計画を決める
頭金10〜20%+完成までの分割払い(ペイメントプラン)+諸費用約4〜5%。大切なのは「今払える額」ではなく完成までの支払スケジュール全体に無理がないこと。引渡しが遅れても困らない余裕を持たせます。
エリアを絞る
値上がり重視なら再開発・新駅の周辺が候補。同じ時期に完成・引渡しが集中するエリアは家賃が緩みやすいので、検討エリアの供給予定もセットで確認します(未来3D・プロジェクト検索)。
🔍 探す(ステップ4〜5)
デベロッパーとプロジェクトを選ぶ
ここがプライマリーの最重要ポイント。引渡し実績の多いデベロッパーか、プロジェクトがRERAに登録されエスクロー口座があるかを確認します。開発業者ガイドに主要16社の比較があります。
ショールーム・資料の確認
現地ならショールーム、遠隔ならオンライン商談が一般的。デベロッパーの資料(セールスオファー)はAI分析ツールに読み込ませると、価格・支払条件を自動で整理できます。同じ棟でも階・向きで価格が違うので複数ユニットを比較。
✍️ 契約とお金(ステップ6〜8)
申込(EOI/Booking Form)・手付金
買う意思が固まったら申込フォームにサインし、申込金・頭金の一部(5〜10%程度)を払います。支払先は必ずエスクロー口座(法律で義務づけられた保全口座)。☑ 判定基準:振込先の口座名義にプロジェクト名が入ったエスクロー口座か。デベロッパー社名だけの一般口座を指定されたら、その時点で立ち止まってください(口座はDLDの公式サイトで照合できます)。支払方法は銀行送金のほか、カード払いはほぼすべてのデベロッパーが対応しています(Visa・Mastercardは問題なし。American Expressは非対応が多め)。仮想通貨(暗号資産)に対応するデベロッパーもあります。
売買契約(SPA)
正式な売買契約書。なお頭金の支払いは、SPAやOqood登記を待たずに申込の段階から始まるのが一般的です(最新プロジェクトでは特に)。英語ですが、金額・支払スケジュール・引渡し予定日・遅延時の扱いの4点は必ず自分の目で確認(日本語の説明を受けましょう)。
Oqood(仮登記)→ 分割払いが続く
DLD登録料4%を払い、建設中物件の登記簿Oqoodに買主として登録されます。以後も工事の進捗に応じて分割払い。200万AED以上なら、この時点でゴールデンビザの申請対象になります(2026年2月改定・審査あり)。なおビザは対象不動産の継続所有が前提のため、売却するとビザの前提が崩れます——ビザ目的の購入では「利回り・値上がり」と「出口の自由」がトレードオフになる点は織り込んでおいてください。
⚠️ ここ(Oqood後〜引渡し)が資金面で最も重い区間です。完成までは賃料が入らず支払いだけが続き、遅延は1〜3年起こり得ます。契約転売にはデベロッパー承認+一定割合の支払い済みが条件で、途中で降りるのは容易ではありません。また引渡し時の残金をローン前提にする場合、オフプラン対応ローンは限定的(原則LTV50%・非居住者は50〜60%)で、審査に通らなければ自己資金で埋めることになります。詳しくはリスクと注意点⑤へ。
🔑 自分のものにする(ステップ9〜10)
完成 → 残金精算 → スナッギング
完成通知が来たら、残金・引渡し費用を精算します。スナッギング(不具合チェック)は残金精算とほぼ同時か、その後に行い、見つかった不具合の補修をデベロッパーに依頼します。遠隔の場合は専門業者への代行依頼が一般的です。
タイトルディード発行 → 賃貸に出す
Oqoodから本登記に切り替わり、権利証(タイトルディード)が発行されたら正式にあなたの物件です。なお引渡し後はタイトルディード発行前でも、Oqoodのまま賃貸に出せます。ポストハンドオーバー(引渡し後も分割払いが続くプラン)の場合は、完済までタイトルディードは発行されず、Oqoodのまま運用する形になります。管理会社に賃貸運営を委託し、賃貸契約をEjari(政府システム)に登録すると家賃が入り始めます。

4. まとめ ― どちらで買うかは、目的次第

🏗️ プライマリーが候補になる方 値上がり益を重視する方、頭金10〜20%+分割払いで手元資金を分散したい方、完成前の価格で新築を押さえたい方。仲介手数料が原則かからず、諸費用は約4〜5%。200万AED以上なら頭金+登記の段階でゴールデンビザ(10年)の申請対象になります(審査あり)。
🔑 セカンダリーが候補になる方 今すぐ家賃収入を得たい方、現物を内見してから決めたい方、入居者付きの物件で初月から収益を立てたい方。諸費用は約6〜7%(仲介手数料2%+VATを含む)。登記は当日その場で完了し、全体でも1〜2ヶ月が目安です。
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